TAKE10!®
(テイクテン!®)の10の食品群
「1日10の食品群を食べましょう」
TAKE10!®の10の食品群(肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆、海藻、イモ、果物、油)は、東京都健康長寿医療センター開発の「食品摂取の多様性得点」の 10 の食品群を引用しています。それぞれの食品群には、栄養学的にそれぞれの特徴があり、それぞれが私たちの健康に欠かせない栄養素を含んでいます。いろいろな食品を食べることで、自然にバランスよく栄養素を摂取できると考えられるのです。実際に、TAKE10!®の点数が高い高齢者は、低い高齢者と比較して、様々な栄養素が摂取できていることが私たちの研究でも示されています1)。
TAKE10!®
(テイクテン!®)食生活チェックシートを使ってみよう。
まずは、TAKE10!®食生活チェック表を使って、自分の食生活をチェックしてみましょう。
10 の食品群それぞれについて、その日 1 日で少しでも食べたら 1 点、食べなかったら 0 点を入れていきます。1 日の満点は10点です。10 日間続けると、普段自分はどの食品をよく食べて、どの食品を食べていないのかがよくわかりますね。初回は、普段通りのお食事で、2回目からは普段あまり食べていない傾向のある食品群を少し意識しながら、1 日7点以上を目指しましょう。
① 普段通りの食事をしながら 10 日間チェック表をつけてみる。
② 1 回目のチェックで少なかった食品群を意識して、2 回目のチェック。
③ 毎日 7 点以上をキープできるように、また食品群別の 10 日間の点数も 7 点以上になるように心がけましょう!
✧このチェック表の上手な使い方 冷蔵庫やダイニングテーブルの上に置いて、食べたらその都度☑を入れます。そうすると、食べたものを忘れることなく、1日の終わりにはチェック表が完成します。夕飯の献立はチェック表を見て考えるという上級者もいらっしゃいます。
TAKE10!®
食生活チェック表
誕生秘話
TAKE10!®の10の食品群は、食品摂取の多様性得点に基づいています。食品摂取の多様性得点は東京都健康長寿医療センター研究所で開発されたもので、それぞれの食品群について、「ほぼ毎日食べる」を1点、「食べない」を0点として、10点満点で食生活を評価するものです。TAKE10!®を開発する際に、ILSIのスタッフは、この食品摂取の多様性得点を活用して、誰でも簡単に気軽に自分の食事をチェックするツールがあったらなぁ...と考えました。そして、「ほぼ毎日食べる」の「ほぼ」が、曖昧で、人によっては、1週間で6日だったり、5日だったり、1日おきだったり、はっきりしないのは嫌だ!と思いました。食べたか、食べないかはっきりしたい!やっぱり100点満点がいいなぁ。そこで♪、電車の中でひらめいて、ノートに書きなぐった表が原型になりました。表を作ってみると10日間つければ100点満点になり、食品群ごとに、何をよく食べて、何を食べないのか、その人の癖がはっきりわかります。これはいいかも!現在では日本全国、多くの自治体等でこのような表は使われていますが、誕生したのは電車の中。東京メトロ有楽町線の中でした。
大切なたんぱく質の摂取と低栄養
たんぱく質は私たちの身体をつくるのに欠かせない栄養素です。特に高齢期におけるたんぱく質摂取の不足はフレイルとの関連も報告されており、注目されています。
TAKE10! ®の 10 の食品群のうち、肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆の 5 つは、良質なたんぱく質が含まれています。これらの摂取頻度と歩く速さや握力等の身体機能との関係性が、私たちの研究でも示されています。要するに、この 5 つの食品群をよく食べる高齢者は、よく食べない高齢者と比較して、歩く速さが早かったり、握力が強かったりと身体機能に差があることがわかりました2)。
「年を取ったら、肉や魚はあまり食べなくてもいい」「メタボにならないように、肉と油は食べないようにしています」「粗食が健康にいい」そんな風に考えていませんか?
健康な身体を保つためには、毎日の食事からバランスよく栄養素を摂ることが大切です。低栄養(健康的に生るために必要な栄養素が不足している状態)は、体力の低下を招き、その結果、疲れやすくなることもあります。「疲れるから」と動かなくなると、「お腹がすかない=食欲がなくなり」ます。そうすると、ますます食事量が減り、必要な栄養が不足する「低栄養」を助長することになってしまうのです。
疲れるのも、食欲がなくなるのも、「歳をとったんだからしょうがない」と思っていませんか?また、「私は太っているから、低栄養なんて関係ない」と誤解していませんか?
太っていても、毎日の食事の栄養バランスが悪ければ、実は、こんな悪循環に陥っている可能性もあるのです。このように、特に高齢期の「低栄養」は老化を早める原因となることを知っておきましょう。
栄養バランスの良い食生活を実践することと、筋力を維持する運動をすること、この二つを組み合わせたプログラム「 TAKE10 ! ® (テ イクテ ン !®)」をしっかり実行するとで、良い循環を目指しましょう。
TAKE10!®
(テイクテン!®)の体操
「1日10分間の運動を2~3回しましょう」
この「運動」は、実はどんな運動でも構いません。ただ、何でも良いですよと言われると、なかなか始められない方もいらっしゃるので、誰でも、どこでも、道具がなくてもできる体操(ストレッチと筋力トレーニング)を紹介しています。筋力トレーニングの回数は目安です。最初は少ない回数からはじめましょう。また、全ての体操を一度に行う必要もありません。家事をしながら、テレビを見ながら、できることから続けましょう。
毎日体操した記録や食生活チェックシートの点数を記入することができる「TAKE10! ®オリジナルカレンダー」を毎月制作しており、TAKE10! ®教室では、参加者の方に配布し、活用して頂いています。
✧「TAKE10! ®オリジナルカレンダー」のご利用をご検討の場合は、お問合せをご覧ください。
TAKE10!®
(テイクテン!®)の効果
TAKE10!®の効果については、これまでに論文、学会で数多く発表されており、食習慣、運動習慣の向上、身体能力の向上、社会活動の向上3-5)などが認められています。また、プログラムの効果の根拠となる10 の食品群の摂取と身体機能2)、生活機能2)、フレイル6)、栄養素摂取量1)、認知機能7,8)との関連についても報告しています。
TAKE10!®(テイクテン!®)を用いた介護予防教室の効果
TAKE10!®(テイクテン!®)の開発にご協力いただいた主な先生方
牧迫飛雄馬(鹿児島大学教授)
鈴木隆雄(桜美林大学老年学総合研究所所長)
木村修一(東北大学名誉教授)
熊谷修(元人間総合科学大学教授)
古名丈人(元札幌医科大学教授)
発表論文
1)Kimura M, Moriyasu A, Miyazaki R. Dietary variety and nutrient intake among Japanese community-dwelling older adults: A cross-sectional study. Aging Health Res. 2024;4:3. https://doi.org/10.1016/j.ahr.2024.100200
2)Kimura M, Moriyasu A, Makizako H. Positive association between high protein food intake frequency and physical performance and higher-level functional capacity in daily life. Nutrients 2021; 14:72. https://doi.org/10.3390/nu14010072.
3)Kimura M, Moriyasu A, Kumagai S, Furuna T, Akita S, Kimura S, et al. Community based intervention to improve dietary habits and promote physical activity among older adults: a cluster randomized trial. BMC Geriatr. 2013; 13:8. https://doi.org/10.1186/1471-2318-13-8.
4)木村美佳, 守安愛, 熊谷修, 古名丈人. 一自治体における複合プログラムによる介護予防事業(すみだテイクテン)の評価 日本公衆衛生雑誌 2016; 63 (11) : 682-93. https://doi.org/10.11236/jph.63.11_682.
5)木村美佳, 守安愛 牧迫飛雄馬 井平光 古名丈人. 介護予防を目的とした郵便による食習慣介入の効果:積雪・寒冷・過疎地域在住高齢者における検討 日本公衆衛生雑誌 2019; 66; 681-89. https://doi.org/10.11236/jph.66.11_681
6)Kiuchi Y, Makizako H, Nakai Y, Tomioka K, Taniguchi Y, Kimura M, et al. The association between dietary variety and physical frailty in community-dwelling older adults. Healthcare (Basel) 2021; 9:32. https://doi.org/10.3390/healthcare9010032.
7)Kiuchi Y, Makizako H, Nakai Y, Taniguchi Y, Akaida S, Tateishi M, Kimura M, Takenaka T, Kubozono T, Tsutsumimoto K, Shimada H, Ohishi M. Associations of eating out and dietary diversity with mild cognitive impairment among in community-dwelling older adults. Ann Geriatr Med Res. 2024 Apr 11. https://doi.org/10.4235/agmr.23.0218
8)Kiuchi Y, Makizako H, Kimura M, Nakai Y, Taniguchi Y, Akaida S, Tateishi M, Kubozono T, Takenaka T, Shimada H, Ohishi M. Association of combined low physical activity and low dietary diversity with mild cognitive impairment among community-dwelling Japanese older adults. Ann Geriatr Med Res. 2024 Jul 18. https://doi.org/10.4235/agmr.24.0080